初めに
ここでは題名の通り、粉体の成形から焼結と流れの解析まで一連のシミュレーションを実行してることを目標とします。途中で迷宮入りすることもあるかもしれませんが、その時はそういうことです。
きっかけとしては成型から流れの解析の部分部分をまとめたサイト、書籍はございますが、自分はゆりかごから墓場まで、すべての工程をシミュレーションで表したいと思いました。しかしながら自分の需要に答えてくれるサイトがありませんでしたので、それがないなら自分で作ろうというモチベーションです。
構成
下に現在の想定構成を示します。気が付いたら変わっていることと思います。
うまくいくプロジェクトにするためには、まずは全体像を把握することが大切ですね。
- 目標の明確化
- 全体像の俯瞰
- 各プロセス(成形、焼結、流れの解析)で使用するソフトウェア選定
- 各プロセスのつなぎ合わせの調整。
- 各プロセスのシミュレーション実装詳細
目標の明確化
初めての試みですので、
①一軸成形のシミュレーションを行う。(離散要素法、DEM)
②その成形体の焼結シミュレーションを行う。(フェーズフィールド法、PF。もしくはモンテカルロ法 or kinetic MC)
③焼結体中の空気流れの計算を行う。(数値流体力学、CFD)
④上記をうまいこと結び付けらるようにinputとoutputのファイル形式を調整する。
の計4点を目標とします。
全体像の俯瞰
本プロジェクトでは、
①一軸成形のシミュレーションを行う。(離散要素法、DEM)
②その成形体の焼結シミュレーションを行う。(フェーズフィールド法、PF。もしくはモンテカルロ法 or kinetic MC)
③焼結体中の空気流れの計算を行う。(数値流体力学、CFD)
の3つのシミュレーションを行います。それらをうまく結びつけることができるかがポイントになりそうです。どのような形式を入力にとれるのか、出力できるのかを意識しながら、ソフトウェアの選定を進めましょう。
ソフトウェアの選定
一軸整形用シミュレーション
粉体は液相とも固相とも異なった挙動を示しますので、粉体の挙動をよく再現するシミュレーション手法を選定することが重要です。液相用、粉体用、固相用の各シミュレーションの詳細については専門書に譲ります。(①粉体の数値シミュレーション、酒井先生。丸善出版。②混相流の数値シミュレーション、太田先生、丸善出版③粒子法、越塚先生、丸善出版… 丸善出版ばかりですね…)ここでは粉体用のシミュレーション手法の中でより詳しく見ていきます。
粉体用のシミュレーションは自分が思うに
①DEM (Descrete Element Method)
②MPS (Moving particle Semi-inplicit)
③FEM (Finite Element Method)
の3択と思われます。下記に基礎式と特徴を示します。
simulation method 手法 | basic fomula 基礎式 | features 特徴 | メリット/デメリット(個人の感想) |
DEM | ①運動方程式 | 個別の粒子を奪取ポッドに見立ててそれぞれの動きを計算する。 | 構成式は単純な感度。球じゃない場合に一気に難易度上がる? |
MPS | ①連続の式 ②ナビエストークスの式。 ③運動方程式 | 流体力学に近い(素人感度) | 気相との混合層で相性よさそう。気相/液相がないと採用メリット薄い…特に一軸のシミュレーションだとメリット薄い。 |
FEM | ①運動方程式(弱形式) | メッシュを作り計算。 | 固体の変形では圧倒的な信頼間。特に一軸圧縮では相性よさそう。ただ粒子同士のすべりをうまく表現できるか不安。 また衝突処理が大変そう。今回はよいが、激しく動くシミュレーションは大変そう。将来的にはボールミル中の粒子のシミュレーションをしてみたいが、そことの相性は悪そう。 |
うえに示しましたが、なかなか100点となる方法はないものです。とはいえ、DEMはFEMがやりやすそうな印象を受けました。そこで、DEMとFEMについて使用するソフトウェアを深堀してみましょう。
DEM用ソフトウェア
ソフトウェア名 | 特徴 | 費用等 |
LIGGGHTS-PUBLIC | lammpsに近い | open-source(仮) |
Ansys Rocky | 異形のDEMsimulationができるのが嬉しい。 | 天下のansys。stuent editionすらないとは… |
Kratos | tutorialが難解(個人の印象) | open-source(仮) … GiDと結びつき強し。 |
EDEM | 調べる元気ない。 | 天下のaltair |
MFix | GUIでできる。 | open-source |
LIGGGHTS-PUBLICが使いやすい印象です。Ansys Rockeyが見た目非常にきれいで、異形もDEMが使えそうなので、触ってみたかったのですが、student editionが使えないとは…放送大学パワー発揮できず。
あとは、MFiXもよさげです。ただ、日本語の説明が少ない印象。ダウンロードと動作確認はできたので、今度紹介するかもしれません。
酒井先生方の本(粉体の数値シミュレーション、酒井先生。丸善出版)ではこれくらい自分で書きなさいとばかりに詳細にコードを解説くださいますが、デバッグやメンテナンス、計算速度を考えるとまずはLIGGGHTS-PUBLICを触ってみるのがいいでしょう。
FEM
論文を見る限り、一軸成形体を連続体として圧力分布を調べる例はあるものの、それぞれの粒子を圧縮する例は見当たらない。abaqusを拡張してDEMのようなことをしているyoutubeを見かけた気がするが、たぶんuse-subroutineが必要だとおもうので、ここは撤退。
結論 : 一軸成形のシミュレーションはLIGGGHTS-PUBLICでDEMに基づいて実行。
長くなったので、とりあえずここまで。20240929